ドイツ人はなぜ290万でも生活が「豊か」なのか

セカンドライフ

OECDの調査によるとドイツ人の1時間当たりの労働生産性は69.8ドルであり、日本は46.9ドルと約50%も高く1.5倍効率が良い。

また国民一人当たりのGDPは約44000ドルであり日本の38000ドルよりも約15%多いとのこと。

これはドイツ人は毎年日本人よりも354時間も労働時間が短いのに国民一人あたりが生み出す価値は日本人よりもドイツ人の方がはるかに高いことをあらわしている。

そしてドイツ人は収入はそもまで高くないにも関わらず生活満足度が高いのです。

ドイツ人は日本人よりも休んでいるのにもかかわらず経済は全く停滞していない。

あと数年後にセミリタイアを計画している私にとって一番の関心ごとは経済面と生活満足度です。

現役の時とは違って収入は大きく減り、生活を変えなければなりません。

そんな今、私にぴったりの本を見つけました。

それほど多い収入ではないのにドイツ人は何故生活満足度が高いのか?

熊谷徹さんが書かれた「ドイツ人はなぜ290万でも生活が「豊か」なのか」 を解説致します。

この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。

ドイツ人は質素な暮らしを送っている

ドイツの方は日本人とくらべて倹約する人が多く質素な暮らしを送っている。

以下に我が国と比較しました。

ドイツ日本
休日の夕食カルテスエッセン 質素な食事 外食は行かない外食に行く家庭もあり
贈り物基本なしお中元、お歳暮、結婚祝い、香典返しなど
旅行のお土産お土産の文化がない 最近ではクリスマスもやらない家庭も増えている旅行に行くとお土産はあたりまえ
休日の過ごし方
サイクリング、森で散歩、読書しながら日光浴ショッピング、映画館

おしゃれをしている人ははあまりみかけないし女性はノーメイクの人が多い。

食事も質素で夕飯は火を使った料理をしない。
ドイツの伝統的な夕食は冷たい食事と言われるカルテスエッセン(Kaltes Essen )=パンにバターをたっぷり塗ってハムやチーズををのせて食べるというもの。

ドイツ人は何か他の人よりも1円でも安く手に入れることに満足感を得ている。

よく言えば倹約家、悪く言えばケチというのがドイツ人の国民性で、一方日本はトップレベルの贈り物大国です。

ドイツでは贈り物なし、無駄に食事しない、休日も質素に娯楽を楽しむ。

ということで 日本人と違って身を粉にして働く必要性がないのです。

ドイツ人は年290万で生活しているのに生活満足度が高い

ドイツ人の自由に使える額である手取り額は290万円1か月に換算すると25万円となり意外と低い。

社会福祉が充実しているぶん 社会保険料が高くなって手取り額が低くなっている。

日本人の平均の手取り額は320万円なので日本よりも低いのである

付加価値税(日本の消費税)が19%と非常に高い。

ドイツフランスイギリススウェーデン
標準税率19%20%20%25%
食料品7%5.5%0%12%
新聞7%2.1%0%6%
書籍7%5.5%0%6%
海外の消費税率

ドイツ人の質素な理由は自由に使えるお金が少なく、税金が高いからともいえる。

しかし質素な生活でもストレスがたまならい。

日本より低賃金ではあるが、はるかにゆとりがあり、満足度の高い生活を送っていることが分かっている。

ノルウェー10
スイス7.5
デンマーク7.5
ドイツ7.0
OECD平均6.5
日本5.9
韓国5.9
OECDの生活満足度 

ドイツは10のうち7と平均を上回っていり 日本は平均以下の5.9である。

ワークライフバランスの調査では、時間のゆとりがあると答えた人がドイツ人は90.7%、一方日本人は68.6%と22%も低くなっている

日本人は仕事にに追われている、時間がない、お金がない、ゆとりのない生活なのだ。

ドイツは贅沢な暮らしはできないけれど、家族やパートナーとの時間を大切にしたり、自分の自由になる時間を持ったゆとりのある生活である。

そんなライフワークバランスの取れた生活に憧れている日本人はとても多い。

そのヒントはドイツ人の生活であり、ドイツ人の習慣や生活、考えを知ることでお金がなくても豊かな生活を送ることは可能なのです。

サービス砂漠のドイツ、おもてなし大国の日本

日本は世界一のおもてなし超大国

ドイツ日本
店員態度が悪く、気が利かない超おもてなし
宅急便時間通りに届くことはほとんどない 不在届は郵便受けに入れずに持ち帰ってしまう ざわざわ郵便局に取りに行かなければならない時間通り 時間指定 不在届を入れてくれる 再配達もすぐにしてくれる
閉店法というのがあり、日祝日は休み 平日20時以降は締まっている24時間営業 夜中までやっているスーパーもある
ドイツと日本のサービスの違い

ドイツでは店員の態度が悪いので有名でいつまでも注文をとってくれない。

これらはドイツに限らず欧米では当たり前となっている。

ふだん当然のように感じているサービスだが日本は超便利な国なのです。

日本のサービスの常識はドイツでは通用しない。

便利さは忙しさの裏返しでもある

便利さは忙しさの裏返しでもある。

日本は便利だが生きずらい。

以下に、ドイツと日本の仕事に対する意識を比較した。

ドイツ日本
サービスサービスをすることが得意じゃない過剰なサービス業務
仕事ぶり個人主義であり忖度、空気を読むのがとても苦手であるお客さんや上司の顔色を窺いながら仕事をしている
店員店員はペコペコしていないし、頭をさげない。堂々としている。言われたこと以外しない。相手の気持ちを考えない

常に先回りして考え、便利なサービスを提供することを求められている

会社、企業 それなので過労死、ブラック企業 が社会問題になることはない

過労死、ブラック企業、精神的に追い詰められた人の自死。

これらは大きな社会問題。
仕事に関する考え仕事はあくまでも生活の糧を得るための手段。個人の生活を犠牲になんてしない、と言う意識を持っている期待に応えられるように自分を犠牲にしながら身を粉にして働く

日本では便利なサービスを提供するが故に過剰なサービス業務となる。

つまり便利さは忙しさの裏返しなのだ。

基本給が低いから残業して手取りを多くすると言う日本人特有の考えはドイツでも通用しない

ドイツ人にとっては働きすぎによって精神は健康を崩すということは本末転倒でありえない

ドイツ人は他人に期待しない

ドイツ人は 他人に期待しない と言う意識が強い。

100均の商品で怒る人はいないが高級レストランでサービスが悪いとムカつくであろう。

これから分かることは人の不満は相手に期待しすぎるから生まれるのだ。

ドイツ人はホテル、レストラン、お店でそもそも良いサービスを期待していない。

「こんなもんか」と思うだけなのでる。

ドイツ人は「自分でできることは他人の手を借りずに自分でやる」という原則をもっている

DIYの精神がドイツ人の魂に刻み混まれている。

家具は自分で組み立て、モノが壊れても修理も自分でやるのである。

一方、日本人はお金を払って他人に頼む。

お店のサービスが悪い➡期待していないから気にならない➡他人に頼らず自分でやるDIY精神

ドイツは他人に対する甘えが少ない国、日本は他人に対する甘えが多い国なのである。

ドイツ人はお金の奴隷にならない働き方をしている

ドイツ人はお金や消費に振り回されない。

それ以外の価値を重視している人の割合がとても高い。

お金より優先されるものとは・・・

静かな環境、自然

静かな環境、自然を大切にする人がとても多いのだ。

「なんて静かな国なんだ、静かすぎて物足りない」とと感じる日本からドイツに来た人も結構いる。 

日本と言えば商店街のスピーカーから流れる音楽、車のクラクション、学校のチャイムなどの音が街にあふれている。

ドイツ人の中には仕事の疲れを癒すためには静かな環境が不可欠だと考えている人が多い。

そのため休日にわざわざ都会でショッピングを楽しむよりも森や公園で読書をしながらゆったりと過ごしている人が多い

自由時間

もう一つは 自由時間である

ドイツ人は月給が増えなくても家族と過ごす時間が増えればいいと考える人が非常に多い。

日本のように基本給が低いから残業して手取りを多くすると言う考える人はいない。

自分の健康や暮らしを犠牲にするくらいならお金稼ぎにブレーキをかける。

自由時間、静けさ、豊かな自然と言ったお金では測れない価値を大切にしている人が日本とくらべて多いのだ。

ドイツ人はお金をかけずに生活を楽しむ

ドイツ人の休日の過ごしかたについて

ドイツ日本
娯楽娯楽でもお金をかけずに楽しむのだ。日本人は買い物を消費を娯楽として生きている。
旅行
海辺やプールサイドに寝転んで日光浴、読書、泳いだりして過ごす。
買い物・観光名所を回る
休暇基本的にいつでも休みがとれるし、毎年2~3週間のまとまった休みがとれるためである。有給休暇をすべて消費できる環境にない

ドイツ人は買いものでストレスを発散する必要がない。

長期の旅行ではそれなりにお金がかかるので普段から無駄な出費を抑えておく人が多く娯楽でもお金をかけずに楽しむのだ。

せっかくの旅行では何もせずに仕事の疲れを癒すのである。

ドイツ人は仕事の疲れを癒すためには静かな環境が不可欠だと考えている人が多い

旅行代がかからないためにさまざまな工夫もしている。 

「ラスト・ミニット」と呼ばれる格安のパック旅行を使う人が多く、ホテル代節約のために知り合いのところに泊まることも多い。

ドイツはカーシェアリングが非常に安いために車を持たずにカーシェアリングをする。レンタカーやタクシーより全然安いのだ。

少ない収入で十分楽しんだり疲れを癒すすべを知っているからこそ生活満足が高いのだ。

まとめ・求めすぎないことから始めよう

我が国ではもう数十年も収入が伸び悩み、精神も疲弊しています。

今回のドイツ人の考え方・意識はこれからの日本人にヒントになるのではないかと思います。

今でこそドイツ人の働き方、休み方、習慣や考え方を学ぶべきなのです。

ドイツの諺に「贅沢は尽きないが、無いならないでやっていける」と言うのがあります。

日本で言うとことの「足るを知る」です。

日本人も期待値を下げる、つまり「求めすぎない」ことから始めよう。

この意識が社会全体に広がっていくことで日本もドイツのように生きやすくゆとりのある社会へと変わっていくのです。

この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。では。

参考文献  「ドイツ人はなぜ290万でも生活が「豊か」なのか」   熊谷徹著

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