本日は2000年に故大橋巨泉氏によって書かれた「巨泉 人生の選択」をご紹介致します。
2000年はバブルが崩壊し、日本が不況に突入、相次ぐリストラの嵐の中で「終身雇用」の夢は幻となり「会社のため」ではなく、「自分のため」に生きる方を選ぶ人が増えてきた頃です。
最近でこそ日本でも「FIRE」と言う言葉が市民権を得、実行する人も増えてきました。
当時、日本ではまだまだセミリタイアなんてというのはネガティブなイメージしかありませんでしたが、巨泉氏によってこういう生き方もあるんだ、と言うことが初めて示された、そう言う1冊です。
これからセミリタイアを目指す人にとっても有益な一冊になること間違いなし。
この記事は「巨泉 人生の選択」の要約です。
この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。
セミリタイアは積極的な生き方
巨泉氏がセミリタイアをするきっかけとなったのは欧米人の友人との付き合いの中でのことでした。
当時、日本の認識からすればリタイア=引退というのは第一線を退くというネガティブなイメージしかなかったのですが欧米では若くして引退できればできるほど「成功者」と言うレッテルなのでした。
真逆の発想なのである。
「仕事は手段、目的は後半生」と言う考え方なのです。
今までの日本人は仕事こそ人生のすべて、会社こそ自分を生かしてくれる唯一の存在と言う考え方でした。
発想の転換が必要でなのです。
若いうちの仕事や会社は、あくまで人生における一つの手段であり究極の目的は「後半生」でなのです。
会社にしがみつく日本人、若くして退けば尊敬される欧米人
巨泉氏は欧米の友人との交友を通じて落差を痛感したのでした。
その後、欧米人の発想に感化され、そしてセミリタイアを実行するためにの準備をしていくのでした。
①まず、健康、そのため禁煙
どんなに成功し、どんなに富に囲まれても、それでなくても体力の落ちる後半生は、健康でなければみじめである。
富に囲まれて寝たきりの人がいるが多くの場合、前半生の不摂生や無理に起因している。
まず百害あって一利なしの喫煙をやめましょう。
煙草を吸い続けたい人はここから先は読んでもムダです。
「禁煙」、「節酒」、「運動」、「バランスのとれた食事」は健康に欠かせなません。
毎年、健康診断あるいは人間ドックに入いり早期診断し、早期に対処するのが大事です。
②ともに歩く良きパートナー
たった一人の人生は淋しい。
妻がいても気が合わず、ツノ突き合わす毎日は暗い。
独身の人は一日も早くパートナーを見つけることです。
妻との折り合い悪い人、将来も分かち合える希望のない人は「すぐにでも離婚して」後半生をともに歩ける人を見つけてください。
③やりたいことを見つける
自分のやりたいことをしっかり見つけることである。
若い頃は趣味をできるだけ広げて、徐々に淘汰して言って2つか3つに絞ると言うやり方がいい。
とにかく趣味がないと後半の人生は味気ないものになってしまう。
生きがいのない人生は無意味である。
趣味は最低一つや二つで「晴耕雨読」が基本。天候に左右されずに楽しめるからである。
老化しないようにupdateな趣味も大事である。
ペットは必需です。特に子供のいないカップルには尚更である。
動物好きの人にはペットが必要だと思う。
リタイアをした周りの人を見ても、ほとんどの人は犬か猫を飼っている。
夫婦2人きりの生活の潤滑油にもなるし、犬なら防犯にも役に立つ。
④財政計画は早く始めると有利
財政はある意味では、最も重要であり、不可欠の条件と言うべきであろう。
財政計画であるが、これは早く始めるに越した事は無い。
一応60歳でリタイヤするとして、40歳で初めて20年、30歳からやれば30年の時間がある。
投資等の面から考えると、長ければ長いほど有利である。時間を味方につけるのである。
家族に関して子供は作らないか作ってもできれば35歳までに完了すべきである。
なぜなら40歳以降に子供ができると引退後にまだ親がかりの子供が存在することになり、経済計画に支障をきたす可能性が強くなるからだ。
その意味からも、再婚組は子供を作らないほうが良いと考える。
最も要注意のケースは、50代以上の男性が若い女性と再婚した場合である。
こういう女性のほとんどは、子供を欲しがる。
男性は、60代でも立派な受精能力があり女性が若いと出産の可能性が高い。
巨泉氏が欧米人の友人から教わったリタイアの条件とは
夢のリタイア三条件
1、自分たちの名義の住宅
温暖な地に持ち家を持つ・・・家賃を払っていては安全なリタイヤはできない。完全に自分の家それも老後は気温の激変を避けたいので、気温の温暖な土地が良い。条件が許せば夏、冬用に二軒持てば理想的である。
2、100万ドルのドルの現金
これはよほどの金持ちじゃないと現実的ではない。
3長期的な投資
住宅は投資である。将来発展する地区に注目すべし。「売る時」のことを第一に考える。
趣味は人を助ける
趣味のない後半の人生など、無きに等しい。
夢中で仕事をしている若い時代でさえ、趣味は仕事の疲れを癒し、明日への活力の源となるのだから、後半の人生では、まさに人生の主役にさえなるものである。
ところが、世の中には、仕事が趣味と公言してはばからない人がいる。
そんな人ほど地位にこだわり、実際に引退せざるをえなくなると別人のようにしぼんでしまい、あっという間に老け込んでしまったり、ボケてしまったり、中には自殺してしまう人さえいる。
趣味といえば、全く個人的なもので、他人がとやかく言うものではない。ただ、後半の人生と言うことを視野に入れた場合、最低2つは持ちたいものである。
1つは運動に関するもので、ゴルフでもゲートボールでも散歩でも何でも良い。運動不足は後半生の敵である。
そしてもう一つは室内でできるものがいい。できれば指先を動かすものがよくピアノでもギターでも編み物でもなんでもよい。
こうしたものがボケ防止に役立つのだそうだ。
まさに晴耕雨読である。
家族という絆
成功する結婚の第一条件
すばらしい後半の人生を演出するには、はっきりした家族観としっかりした家族計画が必要だと思う。
成功する結婚の第一条件は、お互いに相手を好きであることと信じている。
100歩譲っても嫌いでないことが条件になる。
では、何が好きであることが重要か。
まず、顔と性格と言って良い。美しいか醜いかはとはないが、嫌いな顔はまずいと思う。気の遠くなるような長い時間を一緒に過ごすのである。
性格はもっと重要であるが、これは長い間に補うことができる。そのくらいの努力が必要だろう。
要は相性である。
そして結論は、やはり全てを手に入れることができないので、どこかで妥協しないといけない。
You can’t have everthing. なのである。
愛嬌は年とらない
愛嬌は年とらない。
これをしっかり認識してしていれば、長く幸せな結婚生活が送れる。
どんな美人だって歳をとればシワもできるし、胸も垂れる。
しかし、愛嬌は一生ついて回る。愛嬌はかわいいとともに、人を楽しませるユーモアのあると言う意味もある。
妻と付き合う心得
できるだけ一緒にいること
まず、なんといってもできるだけ一緒にいることが重要である。
若いうちは仕事上どうしても離れていることが多くなる。しかし離れているとどうしても心に隙間が生じる。
そこに誘惑や浮気心が忍び寄ってくるものだ。できるだけ一緒に入るか、毎日必ず連絡しているべきだと思う。
できるだけコンタクトする
ただ一緒にいるだけでなく、できるだけコンタクトが欲しい。
連絡ではなく接触と言う意味である。
通りがかりに髪とか肩とかにちょっと触れることが大きいのだ。できれば1日1回軽いキスをすればベストだと思う。
これは意外にも、言葉以上の仲直りや詫びの効果を持つ。
こうした儀式を持つことの重要性は、意外に知られていない
互いの領域は尊重する
全く逆の意味になるが、一方ではそれぞれの領域を尊重することも大切だ。
特に趣味や行動の面で自分のやりたいことを相手に押し付けない。
共通の趣味を持つ
共通の趣味を持つ
押し付けてはいけないが、2人の共通の趣味は、1つや2つ必ず持つことである。
何かを一緒にしている時間と全然別のことをしている時間を持つ。これが超重要だと信じている。
トラブルは話し合いで解決
最後にトラブルに巻き込まれたら2人でとことん話し合うことである。
人間だから配偶者にも話せない秘密もありえようが2人の間の事は隠し立てせず話し合うのだ。
お互い大切な後半の人生に欠かせないパートナーであったなら、ほとんどのことが解決できるはずだ。
2人だけの秘密
そして、逆に2人だけの秘密が多い方が良い。
他人には、絶対受けないジョーク、他人にはわからないものまね、と言う夫婦だけの隠しネタがあれば、多少の喧嘩はおさまってしまう。
くどいようだが、決め手は相性である。
お互いに、お互いのいい加減さがわかるのに10年
利用するのに10年
感謝するのに10年かかり
30年の古き良き夫婦になれるのである。
友を選ばば
友人とは、利害関係を入り込ませない。
親類よりも、友人を上位に置くほど友達は大切と考えている。
自分で選ぶのだから、妻の次に大事にする。
しかし、ともに自立した個人なのだから、お互いに寄り掛かるようなベタベタした関係は嫌だ。
それぞれの生き方を尊重しながら一緒に遊んだり相談があれば乗ると言う関係が望ましいのである。
それから利害関係が一切入り込まないのが真の友人だと信じている。
真の友人とは、どんなに離れていても、またどんなに長い間会わなくてもいつでも会いたいものだし、相談ごとがあればすぐに乗ってあげる人のはずである
人生で大切なこと
前半生はやり直しがきく
若いうちは何でもした方が良い。
しかし、前半の人生では、七転び八起きの例えの通り、何回でもやり直しがきく。
しかし40歳過ぎてそんなことをする奴は馬鹿だ。だんだん回復不可能になる。
自分の能力とその限界を知ってさえいれば、そしていつも全力投球を惜しまなければ何とかなる。
運命の総量は皆平等
人間の運の総量は同じである 運をつまらないことに使わないことにする
金や富は一位に置かない
とにかく前半の人生はやるべき事は何でもやってみることである。
そして40歳になったら素晴らしき後半の人生の準備を今度は綿密に始めることをお勧めしたい。
後半生の道しるべを手に入れる
後半生への九戒
- だれもこの世を生きて通り抜けることはできない。だから正しい価値観を持とう。
- 体を大事にしよう。健康こそ万人の富の源泉である。健康なくして幸福は不可能である。
- いつも明るく人の役に立つ人間であれ。情けは人のためにならない。
- おこりっぽい人や揉め事の好きな人を避けなさい。そういう人は執念深く復讐心がすごいものだ。
- 熱狂的信者も避けたほうがいい。彼らはユーモアを理解しない。
- 自分で喋るより人の言うことを聞くようにしよう。自分で喋って何かを得る事は無い。
- 人に助言を与えることも深く用心しよう。賢い人はそれを必要としないし、愚かな人は心に留めないだろうから。
- 若い人に優しく年寄りや困っている人に同情的で弱者や道を誤った人には寛容であれ。人生のどこかで自分もその1人だったか、またそうなるかもしれないから。
- 成功と金を同等に考えてはいけない。世の中には大金を儲けながら、人間としては惨めな失敗に終わった人が大勢いる。成功で最も重要な事は人がいかにそれを成し遂げたかということである。
転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け
年を取ってからの死因や大けがは転倒から来ていることが多い。
風邪は万病のもと 体力が衰える中年以降は風邪をこじらせて大病というケースが多い。
「義理」を断れずに無理をすることが大病や死につながる。
You can’t have everything
人間の欲は無限であるが、「足るを知る」ことである。
「今回の人生ではやめておこう」と考える。
自分の道は自分で切り開け
とにかく人生は一回きりである。どう生きるかはその人次第。
国のために生きるのも会社のために生きるのも本人の自由である。
戦後、西欧に追いつけ、追い越せを合言葉に死にものの狂いでがんばってきた。そして世界有数の経済大国になった。
しかし、何かが欠けていると感じてきた。
世界有数の経済大国の国民はそれにふさわしい老後を迎えることができるのか?疑わしい。
日本よりはるかに所得の低い国で引退者がはるかに楽しい生活を送っているのが現状である。
政府も会社も頼りにならないとすれば、自分の人生は自分で切り開かなければならない。
まとめ
平均寿命が上がり、超少子高齢化の日本社会では年金の受給年齢が上がり、良いのか悪いのか高齢になっても働ける環境が整ってきている。
では、悠々自適な生活はいつやってくるのか? 仕事で忙しくてやれなかったこと、後回しにしてきたことはいつやれるのか?
積極的に準備し、行動に移さなければやろうと思った時にはもう年老いており、そんな気力も体力もなくなっているだろう。
まさに「絵にかいた餅」である。
そうならないためにも「若いうちから早い段階で計画を立てて実行に移せるようにしましょう」と、巨泉氏は提言しているのです。
この記事がみなさんの心に残ったら幸いです。
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